CFOが必要になる会社とは?
財務の責任者を置いた方がいい時期と理由

中小企業には、営業や現場の仕事で売上を伸ばすことが得意な社長が多くいます。売上が伸びると、仕入れの支払い、借入の返済、設備投資の判断が増え、社長が営業と財務の両方を一人で抱えるようになります。CFO(最高財務責任者)を置く理由は、この財務の判断を社長から引き継ぎ、数字にもとづいて決められる体制を作ることです。

この記事の要点

  • 2025年版中小企業白書は、売上高10億円の成長の壁を「経営者一人で経営することの限界」としています
  • 財務の責任者を置いた方がいいのは、借入先が複数になった時、大きな投資や出店を決める時、試算表が経営の判断に間に合わなくなった時です
  • 専任のCFOを採用する前に、外部のCFOに財務の判断を任せる方法もあります

売上を伸ばす力と、財務を見る力は別の仕事

売上を伸ばす仕事は、顧客を増やし、商品を売り、現場を運営することです。財務の仕事は、入ってくるお金と出ていくお金の時期を合わせ、足りない分をいつ、どの金融機関から、どの条件で借りるかを決めることです。売上が伸びるほど、仕入れや人件費の支払いが先に増え、入金は後から来ます。売上が順調な時期ほど、財務の判断が増えます。

社長が両方を担当していると、営業を優先すれば資金繰りの確認が後回しになり、資金繰りに時間を取られれば営業の時間が減ります。経理と財務の違いと、財務ができる人が社内に少ない理由は、コラム「中小企業に財務ができる人が少ない理由」で取り上げています。

白書が示す「売上高10億円の壁」

2025年版中小企業白書は、売上高の規模ごとに、成長のために必要な取り組みを分析しています。売上高10億円未満の企業では「経営者の兼務解消・権限委譲」と答えた割合が最も高く、白書は売上高10億円の成長の壁を「経営者一人で経営することの限界」と書いています。営業人材や経理人材などの専門人材を確保し、社長が持っている仕事を任せていくことが必要だという整理です。

白書は、経営人材がいない企業の割合が売上高10億円未満で最も高いことも示しています。さらに、業績やキャッシュフローを適時に確認できる管理に取り組む企業は、取り組まない企業よりもスケールアップ(売上規模が上の区分へ移ること)した割合が高く、その差は10億円未満と10〜50億円未満の区分で大きくなっています。毎月の数字を確認できる体制と、それを見て判断する人が、成長の段階を上がる条件の一つになっています。

財務の責任者を置いた方がいい3つの時期を示した図

財務の責任者を置いた方がいい3つの時期

財務の責任者を置いた方がいいのは、借入先が複数の金融機関になった時、大きな投資や出店を決める時、試算表が経営の判断に間に合わなくなった時です。

1. 借入先が複数の金融機関になった時

取引する金融機関が1行のうちは、社長が担当者と話せば足ります。2行、3行と増えると、各行の借入残高、返済の予定、金利、保証の条件を並べて管理する必要が出てきます。どの金融機関にどの資金を相談するかを決めるのも、財務の仕事です。複数の金融機関と取引する考え方は「銀行は1行より複数と付き合ったほうがいい理由」で取り上げています。

2. 大きな投資や出店を決める時

工場の設備、新しい店舗、車両の入れ替えのように、年間の利益を超える金額の投資を決める時は、自己資金で払うか借り入れるか、借りるなら返済期間を何年にするかで、その後数年の資金繰りが変わります。投資の判断を社長の感覚だけで決めず、返済の計画まで数字で確かめる人がいると、判断の根拠を金融機関にも説明しやすくなります。

3. 試算表が経営の判断に間に合わなくなった時

取引が増えると、月次の試算表(毎月の売上・費用・利益をまとめた表)ができるまでの日数が延びがちです。翌々月に前月の数字が分かる状態では、資金が足りなくなる時期に気づくのが遅れます。月次の締めが遅れる理由は「月次の締めが遅れる会社で決まっていない3つのこと」をご覧ください。

財務の責任者が毎月確かめるもの

財務の責任者が毎月確かめるのは、資金繰り表、借入の残高と返済の予定、予算と実績の差の3つです。資金繰り表では、数か月先までの入金と支払いを並べ、どの月に資金が足りなくなるかを先に確かめます。借入の残高と返済の予定では、金融機関ごとの返済の終わる時期と、次に借りる時期を確かめます。予算と実績の差では、売上や経費が計画からどれだけ離れたかと、その理由を確かめます。この3つを毎月そろえておくと、社長は数字の説明を受けたうえで、投資や採用の判断を短い時間で決められます。

専任のCFOを採用する前にできること

財務の責任者を正社員で採用しようとしても、中小企業が出せる給与で、経理と金融機関の対応と経営判断の経験を持つ人を見つけるのは簡単ではありません。採用が難しい理由は「CFOを探す会社は多いのに、なり手が少ない理由」で取り上げています。

専任の人を置くほどの業務量がまだない会社では、外部のCFOに月に数回の定例で財務の判断を任せる方法があります。外部のCFOが資金繰り表を作り、借入の時期と金額を社長に提案し、社長は売上をつくる仕事に時間を使います。社外CFOと経理担当者、顧問税理士の役割の違いは「社外CFOとは?」にあります。

外部CFOのご相談

当社の外部CFOは、3か月先までの資金繰り表の作成、月次の定例での数字の確認、金融機関への報告と交渉の準備、予算と実績の管理を引き受けます。年商数億円規模で、財務の専任者を採用するほどの業務量はまだない会社を想定したサービスです。内容は外部CFOのページで紹介しています。

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