証書貸付は、銀行と「金銭消費貸借契約書」を交わして借りる融資です。借りる金額、金利、返す期間、毎月の返済額を契約書に書き、借りたお金は一度に会社の口座に入ります。その後は、契約書で決めたとおりに毎月返していきます。
設備を買うお金や、1年を超えて使う運転資金を借りる時に、いちばんよく使われる形です。日本政策金融公庫の融資や、信用保証協会の保証が付く融資も、多くはこの形で借ります。
要点
- 契約書を交わして一度に借り、毎月決まった額を返す融資です
- 返す期間は1年を超えることが多く、決算書では長期借入金に入ります
- 契約書には借りる金額に応じた収入印紙を貼ります
証書貸付の借り方と返し方
証書貸付では、借りるたびに銀行の審査を受け、通ったら契約書を交わします。たとえば2,000万円を5年で借りる場合、契約の日に2,000万円が口座に入り、翌月から60回に分けて返します。
返し方は、元金を毎月同じ額ずつ返す「元金均等返済」が多く使われます。2,000万円を60回で返すなら、元金は毎月約33万円で、そこに残っている元金に応じた利息が足されます。返していくほど残高が減るので、毎月の利息も少しずつ減ります。

返済の初めに元金を返さず利息だけを払う期間を付けることもあります。この期間を据置期間と呼びます。付ける時の考え方は据置期間とは?で説明しています。
手形貸付・当座貸越との違い
銀行の融資には、証書貸付のほかに、手形を差し入れて借りる手形貸付と、決めた枠の中で借りたり返したりする当座貸越があります。3つの違いは、借りるたびに何を交わすかと、どのくらいの期間で返すかです。
| 証書貸付 | 手形貸付 | 当座貸越 |
|---|
借りる時に交わすもの | 金銭消費貸借契約書 | 約束手形 | 最初に枠の契約を1回 |
返す期間 | 1年を超えることが多い | 1年以内が多い | 枠の期間は1年か2年が多い |
返し方 | 毎月決まった額 | 期日にまとめて、または借り直し | 入金があった時などに自由に |
短い期間のつなぎには手形貸付や当座貸越、数年かけて返すお金には証書貸付、という使い分けが一般的です。当座貸越の仕組みは当座貸越とは?、期間による違いは短期融資と長期融資の違いで説明しています。
決算書での勘定科目
証書貸付で借りたお金は、決算書の貸借対照表で負債に入ります。返す期間が決算日の翌日から1年を超える部分は「長期借入金」、1年以内に返す部分は「短期借入金」や「1年以内返済予定の長期借入金」に分けて書くのが一般的です。
5年で借りた2,000万円の場合、決算の時点で残っている元金のうち、次の1年で返す約400万円が流動負債に、残りが固定負債に入ります。銀行は決算書を見る時、この1年以内に返す額と、本業で稼いだお金を比べて、返済に無理がないかを見ています。
銀行側では、貸したお金を「証書貸付金」として管理します。「証書貸付金とは」と調べる人が多いのは、銀行の明細や残高証明書にこの言葉が出てくるためです。
毎月の返済のうち、元金の部分は借入金を減らす処理になり、利息の部分だけが「支払利息」として経費に入ります。返済額をそのまま経費にしてしまうと、利益が小さく見え、借入金の残高も通帳と合わなくなります。銀行の返済予定表には元金と利息が分けて書かれているので、その数字どおりに記帳します。
契約書に貼る印紙税
金銭消費貸借契約書は、印紙税の第1号文書に当たります。借りる金額によって、貼る印紙の額が決まっています。
契約書に書く金額 | 印紙税 |
|---|
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
2,000万円を借りる契約書なら2万円です。印紙は借りる側が用意することが多く、決算書では租税公課として経費に入ります。ほかの金額の区分は、国税庁の印紙税額の一覧表で確かめられます。
証書貸付でよくある勘違い
1つめは、「返し終わるまで追加では借りられない」というものです。返済が進み、業績に問題がなければ、残高があっても新しい証書貸付を受けることはできます。追加で借りる時の考え方は折り返し融資とは?で説明しています。
2つめは、「金利は契約の時から変わらない」というものです。契約書で固定金利と決めていれば変わりませんが、変動金利の契約では、基準になる金利が動くと途中で利息が変わります。どちらで借りているかは、契約書の金利の欄で確かめられます。
銀行との付き合い方を詳しく知りたい方へ
当社が運営する「Bank Design|銀行戦略メディア」のnoteでは、短期と長期の借り方の選び方や、複数の銀行との付き合い方を、経営者向けに書いています。銀行とのやり取りを詳しく知りたい方は、Bank Designのnoteもご覧ください。
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証書貸付の条件や審査は金融機関によって異なります。この記事は一般的な仕組みの説明で、特定の会社が融資を受けられることを示すものではありません。