融資の巻き直しは、今の借入の残りを、同じ銀行の新しい融資で借り直すことです。返す期間をもう一度長く取り直したり、何本かに分かれた借入を1本にまとめたりして、毎月の返済額を軽くするために使われます。
銀行の担当者が「巻き直しましょうか」と提案することもあれば、会社から相談することもあります。言葉は同じでも、中身は「残りを借り直す」「まとめる」「少し上乗せして借りる」のどれかで違うので、何をするのかを確かめておく必要があります。
要点
- 今の借入の残りを新しい融資で借り直し、返す期間を取り直すことです
- 毎月の返済は軽くなりますが、返し終わるまでの利息の合計は増えることがあります
- 返済の条件変更(リスケ)とは別の扱いで、新しい融資として審査を受けます
巻き直しの仕組み
たとえば3年前に3,000万円を5年で借りて、残りが1,200万円、毎月の元金の返済が50万円だったとします。これを新しく5年の融資で借り直すと、1,200万円を60回で返すことになり、毎月の元金は20万円になります。

毎月の返済が30万円軽くなれば、その分を仕入れや人の採用に回せます。何本かの借入を1本にまとめれば、返済日や金利の管理も楽になります。
そのぶん、返し終わる時期は2年ほど延びます。利息は残っている元金にかかるので、返す期間が長くなるほど、返し終わるまでに払う利息の合計は増えます。巻き直しで軽くなった分を何に使うかを決めてから相談するのが筋です。
借り換え・リスケとの違い
| 巻き直し | 借り換え | 条件変更(リスケ) |
|---|
何をするか | 同じ銀行で残りを借り直す | 別の銀行や制度で借りて今の借入を返す | 今の契約のまま返済を減らしてもらう |
審査 | 新しい融資として審査 | 借りる先が新しく審査 | 返せない理由と計画を説明 |
その後の借入 | 実績として残る | 実績として残る | しばらく新しい融資が出にくい |
リスケは、返せなくなりそうな時に銀行に返済を待ってもらう方法です。銀行の会社への評価が下がり、しばらく新しい融資を受けにくくなります。巻き直しは、今の返済を続けられる会社が、新しい融資として借り直すものです。銀行の評価の仕組みは銀行の格付けとは?で説明しています。
銀行が巻き直しに応じる時に見ること
巻き直しは新しい融資なので、銀行は決算書と試算表、これまでの返済の様子を見て判断します。これまで遅れずに返してきたこと、本業で稼いだお金で新しい返済を続けられることが前提です。
残りに少し上乗せして借り直す場合は、増やした分の使いみちも聞かれます。返済を続けながら同じ額まで借り直す考え方は折り返し融資とは?で説明しています。
巻き直しを考える時の注意点
1つめは、保証付き融資の扱いです。信用保証協会の保証が付いた借入を巻き直すと、新しい保証料がかかります。前の保証料の一部が戻ることもあるので、差し引きでいくら増えるかを確かめます。保証料の計算は保証料の計算方法で説明しています。
2つめは、金利です。借りた時より金利の水準が上がっていると、巻き直しで金利が上がることがあります。毎月の返済額だけでなく、金利と期間を並べて比べることが大切です。
巻き直しが向く会社、向かない会社
巻き直しが向くのは、本業ではお金を稼げているのに、借入の返済が重なって手元のお金が減っている会社です。たとえば本業で稼ぐお金が毎月80万円あり、借入の返済が毎月100万円なら、毎月20万円ずつ手元のお金が減ります。巻き直しで返済を60万円にできれば、毎月20万円ずつ手元にお金が残るようになります。
設備投資のために何本も借りて、返済の時期が重なった会社や、売上が一時的に落ちて回復の見込みがある会社にも合います。返済の山をならしておけば、次の設備投資の相談もしやすくなります。
向かないのは、赤字が続いていて、返済を軽くしても手元のお金が減り続ける会社です。この場合、巻き直しで時間を買っても、同じ問題がまた出てきます。先に、赤字の原因を突き止めて、売上と費用を見直すことが必要です。銀行も、返済を軽くした後に黒字に戻る道筋があるかを見て、巻き直しに応じるかを決めます。毎月の数字の見方は銀行が見る毎月の数字で説明しています。
銀行との付き合い方を詳しく知りたい方へ
当社が運営する「Bank Design|銀行戦略メディア」のnoteでは、返済の組み立て方や、銀行への相談の切り出し方を、経営者向けに書いています。銀行とのやり取りを詳しく知りたい方は、Bank Designのnoteもご覧ください。
融資のご相談
当社は、資金繰り表と返済の計画づくり、金融機関との面談の準備を支援しています。毎月の返済が重いと感じた段階からご相談いただけます。サービスの内容は融資支援のページで紹介しています。
巻き直しに応じるかどうかや条件は金融機関の審査によって決まります。この記事は一般的な仕組みの説明で、特定の会社が融資を受けられることを示すものではありません。