短期融資は、1年以内に返す融資です。長期融資は、1年を超えて返す融資です。決算書でも、1年以内に返す借入は「短期借入金」、1年を超えて返す借入は「長期借入金」に分けて載せます。
どちらで借りるかで、毎月の返済額と、手元に残るお金の動きが変わります。
この記事の要点
- 短期融資は、仕入れから売上の入金までの間に立て替える運転資金に向いています
- 長期融資は、設備資金のように、何年もかけて利益で返すお金に向いています
- 使い道と返す期間が合っていないと、利益が出ていても手元のお金が足りなくなります
融資の期間や形は金融機関と融資の種類によって異なり、この記事の考え方に沿って相談すれば必ず借りられるという意味ではありません。
短期融資と長期融資の違い

短期融資
短期融資の主な形は、手形貸付と当座貸越です。手形貸付は、会社が金融機関あてに約束手形を差し入れて借りる形です。期日に元金をまとめて返すか、同じ額で借り直します。この借り直しを「書き替え」と呼びます。当座貸越は、決められた枠の中で、要る時に引き出し、入金があった時に返す形です。
どちらも、期間中は利息だけを払い、元金は期日にまとめて返す形が多くあります。
長期融資
長期融資の主な形は証書貸付です。金融機関と金銭消費貸借契約書を交わし、毎月決まった額の元金と利息を返していきます。
返す期間の上限は融資の種類で決まっています。たとえば日本政策金融公庫の国民生活事業の一般貸付では、設備資金は10年以内(据置期間2年以内)、運転資金は7年以内(据置期間1年以内)とされています。元金の返済が始まるまでの据置期間は、据置期間とはで説明しています。
短期融資のメリットとデメリット
メリット
- 期間中に元金を返さない形が多く、毎月の手元のお金が減りにくい
- 入金があれば返し、また要る時に借りる、という使い方ができる
- 書き替えのたびに、金融機関と今の業績を話す機会ができる
デメリット
- 書き替えのたびに金融機関が続けて貸すかを判断するので、業績が落ちると借り直せないことがある
- 設備のように何年もかけて回収するお金に使うと、期日に返すお金が手元に残っていない
長期融資のメリットとデメリット
メリット
- 何年かに分けて返すので、1回の返済額が小さい
- 返済の予定が最後まで決まっているので、資金繰り表を作りやすい
- 一度借りれば、期日ごとに続けて貸すかの判断を受けない
デメリット
- 毎月元金を返すので、運転資金に使うと手元のお金が少しずつ減っていく
- 期間が長いほど、利息を払う期間も長くなる
- 返済が進むまで、次の借入の相談がしにくいことがある
返済が進んだ後にもう一度借りる相談は、折り返し融資とはで説明しています。
使い道と返す期間を合わせる
運転資金は、仕入れや外注費を先に払い、売上の入金で戻ってくるお金です。入金があれば返せるので、短期融資と組み合わせやすいお金です。設備資金は、機械や店舗に使ったお金を、その設備で上げる利益から何年もかけて回収します。設備を使う年数に合わせて、長期融資で借りるのが一般的です。運転資金と設備資金の違いは融資の使い道はどこまで自由?で説明しています。
中小企業でよく見るのは、運転資金を長期融資で借りている形です。仕入れのために立て替えているお金は、商売を続けている間ずっと要ります。ところが長期融資では毎月元金を返すので、返した分だけ手元のお金が減り、数年たつと同じ運転資金をまた借りることになります。利益が出ていても手元のお金が足りなくなる会社には、この形がよくあります。
金融庁は2015年に、正常運転資金(売掛金と在庫を足し、買掛金を引いた額がおおよその目安)を短期融資の書き替えで支えることは「何ら問題ない」という考え方を示しました。正常運転資金でも長期の担保・保証付き融資で対応する金融機関があったためです。ただし、短期融資の書き替えに応じるかは金融機関が会社ごとに判断するので、どの会社でも短期で借りられるわけではありません。
今の借入を見直す時
今の借入を、運転資金と設備資金に分けて並べてみると、使い道と期間が合っていない借入が見つかることがあります。合っていない借入があっても、すぐに借り換えが要るとは限りません。毎月の返済額と手元のお金の動きを見て、次に借りる時の期間を決める材料にします。
銀行との付き合い方を詳しく知りたい方へ
当社が運営する「Bank Design|銀行戦略メディア」のnoteでは、銀行ごとの違い、複数の銀行との付き合い方、金利や返済期間の相談の考え方を、経営者向けに書いています。短期と長期の組み合わせを自社でどう決めるかは、noteの会員向け記事で扱っています。Bank Designのnoteもご覧ください。
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