財務の責任者(CFO)がいた方がいいのは、仕入れや材料の支払いが売上の入金より先に出ていき、店舗や車両、機械への投資が続く業種です。飲食、小売、建設、運送、製造はこの形にあてはまり、売上が伸びるほど先に払うお金が増えるため、いつ、どの金融機関から、いくら借りるかの判断が多くなります。
この記事の要点
- 仕入れのある業種は、支払いと入金の時期のずれを運転資金で埋める必要があり、売上が伸びるほど必要な資金が増えます
- 店舗、車両、機械を持つ業種は、設備資金の借入と返済が続き、投資の判断が経営に与える影響が大きくなります
- 財務の責任者がいると、借入の時期と投資の判断を、売上の計画と資金繰り表で確かめてから決められます
仕入れと店舗がある会社の財務が難しい2つの理由
仕入れと店舗がある会社は、支払いが入金より先になることと、設備への投資と返済が続くことの2つで、手元の資金が減りやすくなります。
支払いが先、入金が後になる
仕入れのある会社は、商品や材料を買ってから売るまでに時間がかかり、売った後も入金までに時間がかかります。この間に支払った仕入れの代金の分だけ、入金があるまで資金が滞留します。売上が伸びて仕入れが増えると、手元から出ていくお金も増えます。売上が伸びているのに手元資金が減る仕組みは「仕入れのある会社の資金繰り」で取り上げています。
設備への投資と返済が続く
店舗、車両、機械は、使い続けるうちに入れ替えや修繕が必要になります。新しい店舗を出す、車両を増やす、機械を入れ替えるたびに、自己資金で払うか借り入れるかを決め、借りた場合は返済が何年も続きます。前の投資の返済が終わる前に次の投資を決めることも多く、返済の予定を並べて管理しないと、毎月の返済額が利益に対して重くなります。

業種ごとに違う、お金の出入りのずれ
支払いと入金の時期のずれ方は、飲食店・小売店、建設業、運送業・製造業で違い、資金が足りなくなる時期も業種ごとに変わります。
飲食店・小売店
飲食店や小売店は、店頭での売上は現金やキャッシュレス決済で早く入りますが、キャッシュレス決済の入金は決済会社の締めと支払いの日を待つことになります。小売店は売れる前に在庫を仕入れるため、品ぞろえを増やすほど在庫に資金が残ります。店舗を増やす時は、内装と設備の資金に加えて、開店から売上が安定するまでの運転資金も必要です。
飲食店の食材や小売店の商品は、仕入れ先に掛けで買い、月末で締めて翌月に払う形が多くあります。キャッシュレス決済の比率が上がると、売上の入金が決済会社の支払いの日にそろうため、仕入れの支払い日との差を月ごとに確かめる必要があります。
建設業
建設業は、材料費や外注費を工事の途中で払い、工事代金は完成や引き渡しの後に入ることが多い業種です。大きな工事を受けるほど、入金までに先に払う金額が増えます。工事代金の入金までをつなぐ融資の仕組みは「つなぎ融資とは?」で取り上げています。
運送業・製造業
運送業は、燃料費と人件費を毎月払い、運賃は月末で締めて翌月以降に入るのが一般的です。車両の購入や入れ替えには設備資金が必要です。製造業は、原材料の仕入れから製品の出荷、売掛金の回収までの期間が長く、機械への投資の金額も大きくなります。
財務の責任者がいると変わること
こうした業種で財務の責任者がいると、毎月の資金繰り表で、数か月先にどの月の資金が足りなくなるかを先に確かめられます。足りない時期が分かれば、売上が落ちてからではなく、決算の数字が良い時期に金融機関へ相談できます。投資を決める時も、返済の予定と既存の借入を並べたうえで、返済期間や借入の時期を決められます。財務の責任者を置く時期の考え方は「CFOが必要になる会社とは?」、社内に財務ができる人が少ない理由は「中小企業に財務ができる人が少ない理由」をご覧ください。
業種が違っても財務の責任者が確かめる3つのこと
業種によってお金の出入りの形は違っても、財務の責任者が確かめることは共通しています。
入金と支払いの時期
取引先ごとの締め日と支払い日、仕入れ先への支払い日を並べると、月の中でどの日に手元資金が最も少なくなるかが分かります。給料や社会保険料、借入の返済の日と、売上の入金の日が離れている会社ほど、月の途中で資金が不足しやすくなります。
借入の残高と返済の予定
店舗や車両、機械のたびに借入をしている会社では、借入の本数が増え、返済の終わる時期がばらばらになります。金融機関ごと、借入ごとに残高と返済の予定を並べると、毎月の返済額の合計と、次に返済負担が減る時期が分かります。
次の投資に必要な金額
次の出店、車両の入れ替え、機械の更新にいくら必要かを先に見積もっておくと、自己資金で払う分と借り入れる分を、決算の時期に合わせて金融機関に相談できます。投資を自己資金と借入のどちらでまかなうかは「設備投資は自己資金と借入のどちらがいい?」で取り上げています。
仕入れと店舗がある会社の財務のご相談
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