借入のレバレッジ効果とは、自己資金に借りたお金を足して事業を大きくし、自己資金に対する利益の割合を高めることです。レバレッジは「てこ」の意味で、小さな力で大きなものを動かす様子にたとえています。借りたお金で稼ぐ利益が、払う利息より大きければ、借りた分だけ自己資金の利回りが上がります。
この記事の要点
- 借りたお金の利回りが金利を上回る時、自己資金に対する利益の割合は上がります
- 利回りが金利を下回ると、同じ仕組みで利益の割合は下がります
- レバレッジを使う前に、事業の利回りと金利の差と、売上が落ちた時の返済を確かめます
この記事は一般的な考え方の説明です。融資を受けられるかどうかや、借りられる額を約束するものではありません。
数字で見るレバレッジ効果
自己資金が1,000万円ある会社を例にします。この会社は、使ったお金に対して年10%の利益を出せる事業をしているとします。わかりやすくするため、税金は考えません。
自己資金の1,000万円だけで事業をすると、1年の利益は100万円です。自己資金に対する利益の割合は10%です。
次に、銀行から1,000万円を年2.5%で借りて、合わせて2,000万円で事業をしたとします。事業の利益は2,000万円の10%で200万円です。ここから利息の25万円を払うと、残る利益は175万円です。自己資金1,000万円に対する利益の割合は17.5%になります。
自己資金は同じ1,000万円のままで、利益は100万円から175万円に増えました。差の75万円は、借りた1,000万円が稼いだ100万円から利息の25万円を引いた分です。これがレバレッジ効果です。

利回りが金利を下回ると、逆に働く
同じ仕組みは、反対向きにも働きます。事業の利回りが年2%しか出なかった場合を考えます。
自己資金だけなら、1,000万円の2%で利益は20万円、割合は2%です。1,000万円を借りて2,000万円で事業をすると、利益は40万円ですが、利息の25万円を払うと残りは15万円です。自己資金に対する割合は1.5%に下がります。
さらに事業が赤字になると、利息の支払いも元金の返済も続くので、借りていない会社より苦しくなります。レバレッジは利益を大きくするのと同じだけ、損も大きくします。借りる前に確かめるのは、事業の利回りが金利を十分に上回っているかどうかです。
中小企業で考える時の注意
上の例は仕組みを説明するための単純な計算です。実際の会社で考える時は、次の点も入れて見ます。
1つ目は、元金の返済です。利息だけでなく、借りた元金も毎月返します。利益が出ていても、返済の額が大きいと手元のお金は減っていきます。返済の期間を長くすると、毎月の負担は軽くなります。設備のように何年も使うものは、使う年数に合わせた期間で借りるのが基本です。
2つ目は、利回りの見込みの確かさです。新しい事業や設備がどれだけ稼ぐかは、やってみないと分からない部分があります。今の事業の延長で、過去の数字から利回りを見込める投資ほど、レバレッジの計算は外れにくくなります。
3つ目は、金利の変化です。変動金利で借りていると、金利が上がった時に利息が増え、利回りとの差が縮みます。固定金利なら、固定の期間中は利息の額が変わらないので、計算は外れにくくなります。
借りる前には、売上が2割落ちた月でも返済を続けられるかを、手元資金と合わせて確かめておきます。手元資金の目安の考え方は会社の手元資金はいくらあれば安心?で説明しています。
貯めてから使う会社と、借りて先に使う会社の差
レバレッジの考え方は、時間にも当てはまります。たとえば2,000万円の設備を入れたい会社が、利益を貯めて買おうとすると、何年もかかることがあります。その間、設備が生むはずだった利益は手に入りません。
借りて先に設備を入れれば、その年から設備が稼ぎ始め、その利益で返済できます。利息は、利益を早く手にするための費用と考えられます。自己資金と借入のどちらで設備を買うかは設備投資は自己資金と借入のどちらがいい?で、借入の基本的なメリットは会社が借入をするメリットとデメリットで説明しています。
反対に、借入をまったく使わない会社は、安全に見えても、伸びる機会を逃していることがあります。無借金の会社が銀行からどう見えるかは無借金経営のメリットとデメリットで説明しています。
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