経理のアウトソーシングが「やめとけ」と言われる理由の多くは、頼む側と受ける側で、任せる範囲と期日の決め方があいまいなまま始めてしまうことにあります。その結果、書類が集まらずに締めが遅れたり、思っていた仕事が含まれていなかったり、社内に経理の分かる人がいなくなったりします。
この記事の要点
- うまくいかない原因の多くは、任せる範囲、書類の出し方、期日が決まっていないことです
- 社内に数字を見る人が残らないと、外部の誤りに気づけません
- 頼む前に、範囲、書類の決まり、締めの期日の3つを決めておきます
うまくいかない時によく起きること
経理を外部に任せてうまくいかなかった会社の話を聞くと、起きていることは似ています。
1つ目は、数字が遅いことです。外部に任せたのに、試算表が出るのは翌々月で、社内でやっていた時と変わらない、という話です。
2つ目は、思っていた仕事が含まれていないことです。記帳だけを頼んだつもりが、請求書の発行や支払いの準備も外部がやってくれると思っていた、あるいはその逆、という食い違いです。
3つ目は、社内に分かる人がいなくなることです。経理を丸ごと任せたら、社内で誰も数字の中身を説明できなくなり、銀行から質問されても答えられない、ということが起きます。
4つ目は、担当者が替わるたびに質が変わることです。外部の会社の担当者が交代すると、同じ質問をされたり、処理の仕方が変わったりします。
なぜそうなるのか
数字が遅い理由の多くは、外部の会社の作業の遅さより、書類が届かないことにあります。外部の会社は、会社から届いた書類でしか処理ができません。社員の経費の領収書や取引先の請求書を、誰がいつ出すかが決まっていないと、外部の会社は月末になっても締められません。
仕事の食い違いは、頼む時に範囲を言葉で決めていないことから起きます。「経理をお願いしたい」の中身は、会社によって記帳だけのこともあれば、支払いや請求、給与計算まで含むこともあります。
社内に分かる人がいなくなるのは、任せた後に数字を見る役を社内に決めていないからです。外部の会社も間違えることがあります。社内で毎月数字を見る人がいないと、誤りに気づけません。
担当者で質が変わるのは、作業の手順が担当者の頭の中にしかないからです。社内の担当者が1人の時に起きる問題と同じことが、外部でも起きます。社内の場合の話は経理担当が1人の会社で、その人が辞めた時に止まる仕事で説明しています。
頼む前に決めておくこと
うまくいっている会社は、頼む前に次の3つを決めています。
あわせて、社内で毎月数字を見る人を1人決めておきます。社長でも構いません。毎月の試算表で、売上、利益、手元のお金の3つだけでも見ていれば、外部の誤りに気づけます。月次の締めが遅れる会社で決まっていないことは月次の締めが遅れる会社で決まっていない3つのことで詳しく説明しています。

安さだけで選ばないために
経理を外部に任せる理由を費用を下げることだけにすると、比べる軸が金額だけになり、範囲を削った安い契約を選びがちです。その結果、社内に残る仕事が多くなり、思っていたほど楽にならないことがあります。
外部に任せる意味は、毎月の数字が決まった日に出て、担当者がいなくなっても止まらないことにもあります。数字が早く出れば、資金繰りや借入の判断に今月の数字を使えます。費用の比べ方は経理を1人雇う費用と、外部に任せる費用の比べ方で説明しています。見積りを比べる時は、月額のほかに、範囲に含まれる仕事、試算表を出す期日、担当者が替わった時の引き継ぎの方法を並べます。同じ月額でも、含まれる仕事が違えば社内に残る手間が変わります。安い契約を選んだ結果、社内の担当者を残すことになれば、その給料も費用に入ります。
外部に任せない方がよい場合
経理を外部に任せない方がよい場合もあります。
1つは、取引の数がとても少ない会社です。毎月の取引が数十件で、社長が会計ソフトを確かめれば締まる規模なら、外部に払う費用の方が大きくなることがあります。この場合は、銀行やカードの自動連携を使い、社長が毎月確認するだけで締められる形を先に考えます。考え方はAI経理とはで説明しています。
もう1つは、取引の中身が毎月大きく変わり、仕訳のたびに社内の事情を知る人の判断が要る会社です。外部の会社はそのたびに社内へ確かめることになり、やり取りの手間で締めが遅れます。この場合は、判断が要る取引を社内に残し、決まった形の取引だけを外部に任せる分け方が向いています。
経理のご相談
当社の経理BPOは、引き継ぎの初月に貴社の経理の手順書を作ります。手順書は当社が管理し、担当者が交代しても同じ手順で作業します。試算表は翌月の第10営業日までにお渡しし、当社の担当者が交代しても同じ手順書で作業します。サービスの内容は経理BPOのページで紹介しています。