AI経理とは、会計ソフトに入っているAIや、銀行・カードとの自動連携を使って、仕訳の下書きや領収書の読み取りを自動にし、人は最後に確かめる作業を受け持つ経理のやり方です。経理の仕事がすべて無くなるわけではありません。手で入力していた時間が減り、確かめる時間と数字を見る時間が残ります。
当社がAI経理の相談を受けると、「AIに任せるなら、誰が最後に責任を持つのか」「人を雇わなくて済むのか」とよく聞かれます。
この記事の要点
- AIが得意なのは、決まった形のデータを読み取って仕訳の下書きを作る作業です
- 人に残るのは、例外の判断、証憑を集める決まり、締めた数字の確認です
- AI経理を始める前に、仕訳のルールと証憑の出し方を決めておきます
AIに任せられる作業
今の会計ソフト(マネーフォワード クラウド会計やfreee会計など)では、次の作業の多くを自動にできます。
1つ目は、取引データの取り込みです。銀行口座、クレジットカード、レジ、決済サービスと会計ソフトをつなぐと、入出金の明細が毎日自動で入ってきます。通帳を見ながら1行ずつ入力する作業はなくなります。
2つ目は、仕訳の下書きです。取り込んだ明細に対して、AIが過去の仕訳や取引先の名前から勘定科目を推測し、下書きを作ります。同じ取引先との同じ種類の取引は、一度ルールを決めれば次から自動で仕訳されます。
3つ目は、領収書や請求書の読み取りです。スマホで撮った領収書や、メールで届いた請求書のPDFから、日付、金額、取引先を読み取ります。手で書き写す作業が減ります。
人が確かめる作業
AIの下書きは、決まった形の取引には強い一方で、判断が要る取引では間違えることがあります。人が確かめる作業は次のとおりです。
1つ目は、例外の判断です。同じ取引先への支払いでも、ある月は消耗品で、ある月は10万円を超える備品の購入、ということがあります。売掛金の入金が一部だけだった時や、月をまたぐ取引も、AIの下書きのままでは合わないことがよくあります。
2つ目は、証憑を集める決まりです。AIは、届いた領収書や請求書は読めますが、出てこない書類は読めません。誰が、いつ、どこへ出すかが決まっていないと、月末に書類が足りず締めが止まります。
3つ目は、締めた数字の確認です。試算表の残高が通帳と合っているか、売上が前の月と比べておかしくないかを見るのは人の仕事です。最後に責任を持つのは会社です。決算と税務申告は、引き続き税理士の仕事です。

AI経理を始める前に決めること
会計ソフトの自動仕訳を試したものの、途中で使わなくなった会社は少なくありません。よくある原因は、ソフトを入れる前に、仕訳と証憑の決まりを決めていないことです。
始める前に決めておくのは、次の3つです。勘定科目をどう使い分けるかの仕訳のルール、証憑を誰がいつどこへ出すかの提出の決まり、月末に何をどの順で確かめて締めるかの手順です。仕訳のルールの考え方はAIで経理を自動にする前に決める、仕訳のルールで、社長1人の会社で自動にする流れは社長1人の会社で経理を自動化する5つの手順で説明しています。
AIの仕訳で起きやすい間違い
AIの下書きで多い間違いは、一度覚えたルールが古いまま使われ続けることです。たとえば、取引先から買う物が変わったのに、前と同じ勘定科目で仕訳され続けることがあります。1件ずつは小さな違いでも、毎月続くと、試算表の費用の内訳が実態と合わなくなります。
もう1つは、同じ取引が2回入ることです。銀行の明細、カードの明細、領収書の読み取りのうち2つから同じ支払いが取り込まれると、費用が二重に計上されます。月末に残高を通帳と照らし合わせる手順を入れておくと、こうした間違いに気づけます。
AI経理で人を雇わなくて済むか
社長1人や数人の会社で、取引の数が多くなければ、AI経理の仕組みを作ることで、経理の担当者を新しく雇わずに月次の締めまで終えられることがあります。社長が毎月確認するだけで月次を締められる形も作れます。
取引の数が多い会社や、支払いと請求の手続きが多い会社では、確かめる作業だけでも人の時間がかかります。その場合は、社内の担当者がAIの下書きを確かめる形にするか、確かめる作業まで外に任せる形にするかを考えます。外に任せる場合の考え方は経理BPOとはで説明しています。
どちらの形でも、手で入力する時間が減る分、月次の数字が早く出るようになります。毎月の数字が早く出ると、資金繰りや銀行との話に今月の数字を使えるようになります。
経理のご相談
当社のAI経理は、会計ソフトと銀行・カードの連携の設定、公認会計士が監修する仕訳のルール、証憑の提出の決まり、月次締めの手順書を作ってお渡しするサービスです。引き渡した後は、社長が毎月確認するだけで月次の締めが終わる形を目指します。サービスの内容はAI経理のページで紹介しています。