AIで経理を自動にする前に決める、仕訳のルール

AIや会計ソフトの機能を使うと、銀行口座や法人カードの取引から、仕訳を自動で作れるようになりました。領収書を1枚ずつ見て入力する作業は、大きく減らせます。けれども、何をどの勘定科目に入れるかのルールが決まっていないまま自動にすると、別の問題が起きます。

この記事では、AIで経理を自動にする前に仕訳のルールを決める理由と、自動の仕訳で間違えやすい取引を説明します。

この記事の要点

  • ルールが無いと、AIは同じ種類の取引に、そのたびに違う勘定科目を選ぶことがあります
  • 売掛金や前払費用の間違いは見た目では分からず、決算の時にまとめて直すことになります
  • 使い道の分からないお金をそのままにすると、決算書の見え方が悪くなり、金融機関の評価にも関わります

ルールが無いと、毎回違う科目になる

たとえば、取引先との打ち合わせの飲食代を、ある月は会議費、別の月は交際費に入れる、ということが起きます。人が入力していた時は、担当者の頭の中に決まりがあったため、大きくずれることはありませんでした。AIは取引の明細の文字から科目を推測するため、店の名前や金額が少し違うだけで、選ぶ科目が変わることがあります。

科目がそろっていないと、月ごとの経費を比べても、増えたのか、別の科目に移っただけなのかが分かりません。会議費と交際費は税金の扱いも違うため、決算の時に直す必要が出てきます。

同じ打ち合わせの飲食代が、ルールが無いと会議費や交際費に分かれ、ルールがあると毎回同じ科目に入ることを示した図

見た目では分からない間違い

自動の仕訳で特に気をつけたいのは、取引の時期と、お金の動く時期がずれる取引です。

請求書を出したのにまだ入金されていない売上は、売掛金として計上する必要があります。入金された日に売上を計上する仕訳になっていると、月ごとの売上がずれます。1年分の保険料やソフトの利用料をまとめて払った時は、翌期の分を前払費用に入れる必要があります。払った月の経費に全額入れると、その月の利益が小さく、ほかの月が大きく見えます。

こうした間違いは、試算表を見ただけでは気づきにくく、決算の時に税理士がまとめて直すことになります。その間の試算表は正しくないため、毎月の判断にも、金融機関への報告にも使えません。

使い道の分からないお金を残さない

社長が会社のお金を引き出して使い道の記録が無い時、仕訳では短期貸付金や仮払金に入れておくことがあります。この残高が大きいまま決算を迎えると、会社のお金が社長個人に流れているように見えます。金融機関は、こうした残高を会社の資産として低く見ることが多く、決算書の評価が下がります。経営者保証を外す相談でも、会社と個人のお金が分かれているかが見られます。保証のしくみは経営者保証とはで説明しています。

ルールを決める時の考え方

仕訳のルールは、会社の取引でよく出てくるものから決めていきます。考え方の軸は次の3つです。

  • よく使う取引先や支払いごとに、入れる科目を1つに決める
  • 入金と支払いの時期がずれる取引を、別に扱う
  • どの科目か迷う取引は、自動にせず人が確かめる

社長1人の会社で経理を自動にする手順は社長1人の会社で経理を自動化する5つの手順で説明しています。

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