経理の引き継ぎは、前任者と後任者が月次の締めを1回以上一緒に行うまでを期間の目安にします。月次の締めは月が明けてから行うため、退職日の1か月以上前に始めないと、一緒に締める月を取れません。引継書には、毎月の作業の順番と期日、取引先ごとの処理、使っているソフトと口座の管理者、年に1回の作業の4つを書きます。
当社が経理の相談を受けると、「経理の担当者が辞めることになったが、何から引き継げばよいか分からない」という声を聞きます。
経理の引き継ぎに必要な期間は?
月次の締めを前任者と後任者で1回以上一緒に行うまでが目安で、退職日の1か月以上前から始めます。
引継書を読むだけでは、取引先ごとの例外の処理や、締めの途中で数字が合わない時の調べ方は伝わりません。前任者が横にいる状態で後任者が1回締めると、引継書に書かれていない作業が見つかります。引き継ぎの最後には、後任者が1人で締め、前任者が結果を確かめる月を取れると安心です。

引継書には何を書くか?
毎月の作業の順番と期日、取引先ごとの処理、使っているソフトと口座の管理者、年に1回の作業の4つを書きます。
- 毎月の作業の順番と期日:書類の回収、記帳、請求書の発行、支払い、給与計算、締めを、何日までに行うか
- 取引先ごとの処理:請求書の送り先や形式の指定、支払日が例外の取引先、毎月決まって発生する取引
- ソフトと口座の管理者:会計ソフト、給与計算のソフト、ネットバンキングの名前と、権限を管理している人
- 年に1回の作業:決算の資料の準備、年末調整の資料、労働保険の年度更新、償却資産の申告の資料を、いつ誰に渡すか
ログインのIDとパスワードは引継書に書かず、管理者の権限で後任者のアカウントを新しく作ります。前任者のアカウントは退職日に止めます。
引き継ぎで漏れやすいことは?
前任者が習慣で行っていて書類に残っていない作業が漏れやすく、取引先ごとの例外の処理がその代表です。
特定の取引先だけ請求書を郵送している、毎月の支払いを1社だけ前倒ししている、社長の立替経費を月末にまとめて精算している、のような作業は、前任者にとって当たり前なので引継書に書かれないことがあります。会計ソフトの過去1年分の仕訳と通帳の明細を後任者と並べ、毎月出てくる取引を前任者が1つずつ説明すると、漏れを見つけられます。年に1回の作業は引き継ぎの期間中に起きないことが多いので、前の年の資料の置き場所を必ず引継書に書きます。
引き継ぎができないまま辞める時は?
会計ソフトの過去の仕訳、通帳とカードの明細、請求書と支払いの控えから、毎月の作業を逆にたどって手順を作り直します。
急な退職や体調の事情で引き継ぎの期間を取れない場合は、残っている記録から作業を組み立て直します。毎月同じ日に出ている振込、毎月同じ科目で入っている仕訳を並べると、どの作業が毎月あったかが分かります。手順を作り直している間に支払いや給与の振込が遅れないよう、支払日と給与日が近い作業から先に確かめます。担当者が辞めた時に最初に止まる仕事は経理担当が1人の会社で、その人が辞めた時に止まる仕事で取り上げています。
後任者を社内に置くか、外に任せるか?
後任者がすぐに決まらない時や、また1人に任せる形になる時は、経理代行に引き継ぐ方法もあります。
社内で後任者を採用する場合、求人から入社まで数か月かかり、その間は社長が経理をすることになります。経理代行に引き継ぐ場合は、外注先が前任者から作業を聞き取り、手順書にしたうえで作業を続けます。社内に1人残して記帳と締めだけを外に出す形もあります。雇う場合の費用と比べる時は経理を1人雇う費用と、外部に任せる費用の比べ方を見てください。外注を始める時の流れは経理の外注を始めるまでの流れで説明しています。
経理の引き継ぎのご相談
当社の経理代行(経理BPO)は、今の担当者からの引き継ぎと手順書の作成から始め、記帳、月次決算、請求書の発行データと支払データの作成、給与計算を月額でお受けするサービスです。決算と申告は今の税理士にそのままお任せいただけます。サービスの内容は経理代行(経理BPO)のページで紹介しています。