シンジケートローンは、幹事の銀行が複数の金融機関を集め、1つの契約書で、同じ金利と同じ返し方で貸す融資です。1行では出しにくい大きな金額を、何行かで分けて貸します。
似た言葉に協調融資があります。どちらも複数の金融機関が貸す点は同じですが、契約の結び方と、銀行との窓口が違います。
要点
- 幹事の銀行がまとめ、複数の金融機関が1つの契約で同じ条件で貸します
- 協調融資は、それぞれの金融機関と別々に契約を結びます
- 手数料と、決算の数字を守る約束(財務制限条項)が付くのが一般的です
シンジケートローンの仕組み
シンジケートローンでは、会社が幹事の銀行(アレンジャー)に依頼し、アレンジャーが参加する金融機関を集めて条件をまとめます。契約は1本で、会社と参加する全部の金融機関が同じ契約書に名前を連ねます。
借りた後の利息の支払いや、決算書の提出、条件の変更の相談は、窓口役の銀行(エージェント)を通して行います。参加する金融機関が5行あっても、会社がやり取りする相手は基本的に1行で済みます。契約書は、日本ローン債権市場協会が公表している雛形をもとに作られることが多いです。
協調融資との違い

| シンジケートローン | 協調融資 |
|---|
契約 | 全員で1本 | 金融機関ごとに別々 |
条件 | 全員で同じ | 金融機関ごとに違ってよい |
窓口 | エージェントの1行 | それぞれの金融機関 |
手数料 | アレンジメントフィーなどがかかる | ふつうはかからない |
中小企業の設備投資では、日本政策金融公庫と地方銀行が同じ案件に別々の契約で貸す協調融資のほうがよく使われます。協調融資の進め方は協調融資とは?で説明しています。
手数料と付いてくる約束
シンジケートローンでは、金利のほかに手数料がかかります。条件をまとめるアレンジャーに払うアレンジメントフィーと、借りた後の窓口を担うエージェントに毎年払うエージェントフィーが代表的です。額は金額や案件の手間で決まり、決まった相場はありません。
多くの契約には「財務制限条項(コベナンツ)」が入ります。純資産をある額より下げない、2期続けて赤字にしない、といった約束で、守れないと金利が上がったり、残りを早く返すよう求められたりすることがあります。何を約束するかは、借りる前にいちばん確かめるべき点です。
中小企業が使う場面
シンジケートローンは、手数料と契約の手間がかかるので、数億円以上の大きな借入で使われることが多いです。工場の新設、ほかの会社の買収、いくつもの借入を1本にまとめ直す時などが代表的な場面です。
地方銀行が地域の中堅企業向けにまとめる、10億円に届かない規模のシンジケートローンもあります。どの形が合うかは、借りる額と、付き合っている金融機関の数で変わります。複数の銀行との付き合い方は複数の銀行と付き合う理由で説明しています。
使う前に確かめること
1つめは、手数料を含めた負担です。金利が少し低くても、手数料を足すと協調融資や1行からの借入より高くなることがあります。2つめは、財務制限条項の中身と、守れなかった時の扱いです。3つめは、決算書や試算表を出す頻度です。毎四半期に報告を求められる契約もあり、経理の体制が追いつくかも見ておきます。
金利の決まり方
シンジケートローンの金利は、基準になる市場の金利に、会社ごとの上乗せを足して決めるのが一般的です。基準にはTIBOR(東京の銀行同士で貸し借りする時の金利)などが使われ、上乗せの幅は会社の財務の内容で決まります。基準の金利が動くと、利息も変わる変動金利になることが多いです。
固定金利にしたい時は、金利を固定するための別の契約(金利スワップ)を組み合わせることもあります。契約が増えるほど仕組みは複雑になるので、何のために固定するかを決めてから使います。
コミットメントラインとの違い
似た仕組みに、コミットメントラインがあります。決めた期間の中で、決めた額まで、会社が求めればいつでも貸すと銀行が約束する契約です。シンジケートローンは借りる額を最初に一度に受け取りますが、コミットメントラインは必要な時に必要な額だけ引き出します。使っていない枠にも手数料がかかる点が、当座貸越との大きな違いです。複数の銀行がまとまってコミットメントラインを組むこともあります。
銀行との付き合い方を詳しく知りたい方へ
当社が運営する「Bank Design|銀行戦略メディア」のnoteでは、大きな借入の組み立て方や、複数の銀行との付き合い方を、経営者向けに書いています。銀行とのやり取りを詳しく知りたい方は、Bank Designのnoteもご覧ください。
融資のご相談
当社は、資金繰り表と返済の計画づくり、金融機関との面談の準備を支援しています。大きな設備投資の借り方を決める段階からご相談いただけます。サービスの内容は融資支援のページで紹介しています。
シンジケートローンの条件や手数料は案件と金融機関によって異なります。この記事は一般的な仕組みの説明で、特定の会社が融資を受けられることを示すものではありません。